2016年8月2日火曜日

トマトの想い出

トマトを見るたびに思い出すことがあります。

まだ都会に住んでいた、
無農薬の野菜に興味を持ち始めた頃の話。


若い女性が一人で切り盛りしている、
無農薬野菜を扱う八百屋さんがありました。
お店には、農家さんから直接買い付けてくる、
たくさんの新鮮野菜が並んでいました

午前中に行った私は、トマトを選びました。
傷物のトマトの山から食べやすいのを2つ。

レジに持っていくと、お姉さんが一言。
「綺麗なトマトばかり選ばないで。
どれも美味しいんだから、
傷の付いた物を選んで!
後の人が傷のトマトだけになるでしょ!」と。

たくさんの人が見ている中、
恥ずかしくなった私は何も言えず選びなおし
傷ありトマトを買って帰りました。


無農薬は傷のあるのが当たり前なのか・・
傷のトマトを選ばなかった私は悪いのか・・
恥ずかしさと情けなさで、
もうそのお店に行くことはありませんでした。


農家になった今、
傷物の野菜は、確かにたくさん出ます。

でも、同じ無農薬農家さんは
「綺麗な野菜の方が美味しい」と言います。
私はどれも美味しいと思いますが、
綺麗なカタチはサラダで。
傷ありは、潰してソースに。
 それぞれの料理に合う野菜のいいカタチ、
いいサイズはあるように思います。

うちの野菜を買ってくれる人は
ミヤサイの野菜だからと買ってくれています。
たまに傷もあるけど、泥も付いてるけど、
一番新鮮で、一番美味しい野菜を送りたい。

 開けた時、「わぁ~!」って
喜んでもらえるように、
心を込めて詰めています。


傷のヒドイ野菜は
ココズと一緒に自家消費(笑)


 その八百屋さんは、
今はお店をたたんだようです。
店主なりの農家に対する、無農薬野菜に対する
熱い想いがあったのだと思っています。

農家側に立てばそれはありがたい事。
でも、お客さん側に立てば・・・?

出店の際は、お客さんと一緒に
野菜を選びます。
「傷があって・・」と言うと、
「それでいいよ~」と言ってくれます。

どれが美味しそう?
どのサイズが食べやすい?
保存は?料理は?

私がその八百屋に行けなくなったのは
店主さんとのコミュニケーション不足。
もっとお話し出来ていれば、
違う想い出になったんだろうと感じます。

トマトを見ると思い出す、
そんな苦い想い出。


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